人志松本のすべらない話 「スノーボード」

小藪トーク

 

小藪
小藪

えー、なんか「こんな声出るん?」みたいな感じの

松本
松本

はい?

「こんな声が出るのん?」っていうか…

なんていうか、まあ「そんな感じで声出るん?」みたいな感じなんですけど

 

あのー、僕の嫁はんが、僕と付き合ってた時にスノボーけっこう好きで

で、嫁はんよく行くんですけど。僕もスノボーやってたんですが、まあ、こういう仕事してるのでなかなか行けない

でも、嫁はんの弟がもう、大学時代に、そういうスノボーのサークルに入ってて

フルフェイスかぶって、あのバーって変な、こんなジャンプ(体をひねる)したりとかするくらい上手で

もう、一冬にめちゃくちゃ行く弟やったんですよ

 

で、その弟たちが行く車に、嫁はんが乗っけてもらって、一緒に行ったりとかしてて

僕も休み合うたから、その。乗っけてもらって

僕らカップルと、弟含めた男3

5人でそのスキーのところに行く、というのがあったんですけど

 

そんで「あの、弟に私乗っけてもらうけど、あんたも行く?」みたいな

「ああ、ほなら行こか」言うて

でも、ちょっとこの世界におるとですね

こういう一般の方と、ちょっと、旅行に行くってのは

ちょっとこう僕は、抵抗あるというか

 

嫁はんの弟のね、友達ってなったらなんか

「向こうでなんか、いっぱいしゃべったりせなあかんのかな?」とか

まあ、言うたら「おもんないこと言ってきたりとかするのも、いなさなあかんのかな?」っていうのも

それはない!

まあでも!まあ、一般の方はそう思わないですけど

でもやっぱ、嫌じゃないですか!

だいたい、彼女の友達と会うのも嫌やのに!

 

まあでも、嫁はんがスノボー行きたい言うてるし

まあ、たまには嫁はん孝行というか

彼女孝行しよか、いうことで。まあ

「ごめんなー、乗っけてもらえます?」って言うたら

ほんなら、弟と、弟と同い年の友達おって。まあ、この子もスノボー上手なんですけど。その

 

「先輩」と呼ばれる1人がおったんですよ

 

それ、僕と同いなんですけど、まあ、その同じサークル入ってたみたいで

で「あ、今日すみません。お願いします」言うて

 「ああ」

みたいな

 

向こうがちょっと

まあ僕、全然売れない芸人なんですけど

一応、俺の姉ちゃんの彼氏は芸人で。あ、ちょっとだけテレビで見たことある

みたいな雰囲気になってました

 

で、僕はもう芸人としゃべる時は、けっこう電源オンにするんですけど

一般の方と会う時は、電源オフにするんですよ

そんな別に、わーってしゃべることもなく

ましてや、乗っけてもらってるから、そ~っとおる感じなんですけど

ほんで、嫁はんと僕が1番後ろに乗って

で、嫁はんとこそこそしゃべったり、まあしゃべらへんかったり

ほんだら弟が運転して、先輩が助手席なんですけど

 

まあ最初、その先輩っていうのが、どうやらリーダーっぽいんですけど

まあ、芸人が同じ車に乗ってるっていうことで。最初、物凄い様子見なんですよ

普段はもう「わー!わー!」言うてるんでしょうけど

弟は僕と慣れてるから、けっこう振るんですけど

「おお」みたいな

「なんかどうのこうのこうの」「そうやなー」とか言えるんですけど

たまに

もう、30分に1回くらい

 

「あれ。でも、小籔さんってあれ、吉本ってほんまにギャラやすいってほんまなんですか?」

みたいな

「あ、そうですね。僕ら全然売れてないから、本当に安いですね。よその事務所どうか、ちょっと僕は知らないですけど」

「へぇ~」

 

ほんで、またちゃう話になって

 

で。まあ、他、先輩が

「誰に会うたことあります?テレビ出てる人」

とか

「あ、まあ、こんな人とか会うたことありますけど」

「この人は?」

「いや、会うたことないですね」

「へぇ~」

とか

 

ほなら「芸人やからけっこうしゃべってくるんかな?」って言う感じで

パンッパンッてジャブくるんですけど、僕が全然、電源オンにできひんから

そんなすぐにでけひんもんね

こう、スッスぐらいよけて、受け答えだけして

「あなたと別に、そんなおもしろい話のディスカッションをする気はないです」って

なんでやねん!?なんでやねん!

いや、そんなね。まあ、万金でしゃべりにいって、滑っても嫌やし!

「もう嫌や!」って、僕はもう(心)閉ざしてたんです

まあ何回か、30分に1回くらいくるけども

 

ほんで、まあ。来ぇへんようになった

そしたら、僕が電源オフにしてるし

「芸人にもちょっと勝てるんちゃうか?」って、思ってるようなタイプやったのもあって

タイプって(笑)

だんだん車が、そのスキー場に近付くにつれて、だんだん声が大きなってきて

 

なんか、なんていうかこう、回しだすというか

その車の中を、こう、回しだすんですよ

 

弟いじってみたり、後ろに座ってるツレをなんか指してみたり

ほんで、なんかおもしろい話みたいなんしだして

んで、こう「ねー」とか、後ろのツレにしゃべってると見せかけて、僕の方チラっと見てみたりとか

ほお。嫌やな

いやいや、そんなん全然おもんないとか思いながら

で、そこで「何を?」って言うて、僕がおもしろい話をすることもなく。僕はもう電源切ってたんです

オフってますからね

ほんならもう、向こうが。まあ助手席乗ってますけど、もうほんま

だんじりで踊ってるぐらい、こう(舞をする)

気持ちは向こう、だんだん「よっしゃ!芸人黙らせた!」と

俺は「この車で支配してるのは芸人ではない!俺だ!」みたいな感じに見えて

なんやそれ

もう、こないしてるわけですよ!(腕を大きくグルグル回す)

助手席ですからこうですけど(小さく座っている)

もう、トークは、こないなってるわけです(腕を大きくグルグル回す)

めっちゃ大きい声で。夜中の3時ぐらいなんですけど、ずっとこのままで

もう「我、覇者なり!」みたいな感じでこう、しゃべってるわけですね

で、僕はまあちょっと、うとうととしたわけです

 

で、パッと起きたら着いてて

「ほんなら行きましょか!」って言われて

僕は大人しい感じで「じゃあ、お願いします」って言って

ばーって行ってたら

僕と嫁はんで、リフト券をどうするかと

日券、半日券といろいろあるんですけど「どうする?」

もちろん1日券ってのはあるんですけど、8000

「1日滑るのかどうかわからへんねん、行程が。だから、どうする?」って言ってたら

 

「もちろん1日券っしょ!!」

 

みたいなことを、そのだんじり野郎が言うてくるわけですね

だんじり野郎ですね

ああもう、こっちでしゃべってるだけやんって

まあ。まあ上手やし、その3人は

ほんならまあ、俺らもそうしようか。って思ったんです

 

ほんなら、まあその、僕らより先乗って、わーって上まで行って

で、向こう3人、わーって乗って来るんですよ

僕らは下手くそですから、下シャーっと滑って終わりなんですけど

そこは、ジャンプ台があるような。スノーボードの所で

で、僕らもバーって下行ったら、ジャンプする所に人だかりがあって

こういって(手で横線を描く)ここ(ジャンプ台の前)で止まるんですよ

で、順番にこう、ジャンプしていくみたいな(手を上下に動かす)

 

で、僕らは下から見てたんですよ

ほんなら、弟がバッ!て来て。あ、次、弟の番や!って思ったら

フルフェイスをバッ!ってかぶって、シャーって滑ってくるんですよ

1階ジャンプ台下で見てるから、一瞬、弟消えるんですよ

ガーっと一瞬消えて、パッ!と出てきたら

もういきなりグルっと回ってるんですよ!

で、クルクルクルクルー、ズドーン!いって

「おお、すごいな!」と

そしたら、嫁はんも「上手やな~」言うて

 

で、次、その弟の友達の子ですね。バーって行って

「あ。あの子や」

バーって行って、一瞬消えて

ふわっといったら、もう、いきなりボードをつかんで(上半身をひねる)

こんな感じで来るんですよ

「ほ〜!めっちゃかっこええな!凄いやん!」

 

で、次。言うてただんじり

先輩の番。だんじり野郎の番です

だんじりじゃないけどね

「まあ、でも上手なんやろな」って思って見てたら

バーって来て、一瞬消えたんですよ

パッ!て出てきたら

 

きおつけして、空向いてたんですよ

 

なんですか?こう、平らに

サッて出てきたら、ボードがこっち(正面)向いてて

体が、真っ直ぐ上向いた状態なんです!

パッと出てきたんですよ

「なんや!?」って思ったら、そのままドーン!!落ちて

ズサズサー!いって

 

そのまま動かへんようになったんですよ

 

どうやら、腰骨やっちゃったんですよ

ほんで「行きしな、あんなにだんじりではしゃいでたのに

だんじりやないよ(笑)

「もう今、動かないんやこの人…」って思ったら、笑えて!

 

それはいけない!!

お前、悪いわ〜!!

その時は、腰骨やったと思わないですから!

「上手い」「上手い」「失敗した」

だけやったから

笑って「なんやねん、あれ?」っつって

嫁はんも半笑いなんですけど

まあ半分は、やっぱあの、ええやつなんで

「いや、これいける?」とかって言ってたら

弟たちが、バー!ってボード下ろして、ガー!って走っていったんですよ

 

ほんならもう、ズサーってなったまま

そのだんじり野郎このままなんですよ(白目を向いて伸びている)

遠くで見てても、全然立ち上がらへんし。もう、きおつけで落ちたまま

僕は半にやけ

「これ、でもどうなるんや?」って見てたら

ワーワーワーワー!いって、その、なんや、ジェットスキーみたいなの来て

もう、だんじり野郎乗っけて。そのままバー!って行ったんですけど

 

…ちょ、これ、リフト券…1日券?

 

「もちろん1日券っしょ!!」

 

って言ってたから!

いやいやいや!?行こうとすな!!

よう言うたな!?思ってね!

そん時のことはわからんやんけ!?

いや、もちろん、そうですけど!

だから、本当に「えっ!?」て思って!

「これ18000円!?めっちゃおもろいやん!!なんやあれ!?」って思って、笑けとったんですけど

 

そんなら、弟たちがバーって行って「病院まで送っていくわ」って言って

「じゃあ、俺らも帰ろか?」

「いやいや。ええ。滑っとって。また戻ってくるから」

「ええの?」言うて

「いや、ほんまええわ。先輩だけ、ちょっと病院つれてくから」

 

で、行ったんですね。で、僕の嫁はんが

僕はまあ、笑いながらですけど

嫁はんも「もうあんた、笑いなや!」って言いながら、笑ってたんですけど

でも、心配やなと。一応、やっぱりね!

「これどうなるんやろ?帰ってきたら、すぐ帰ることになるんかな?」

ほんなら、今のうちに滑っとこか、思って

わーって滑ってたら、弟たちが来たんですよ

 

「おお。そんなら、帰ろか」って言うたら

「いや。ええええ。滑る」っつって

「え?なんで?え、先輩は?」

「いや車で寝てる」

なんか、腰が、ねんざか打撲か骨折か、なんかその、忘れましたけど。けっこう、その。立たれへんぐらいだったと

で、まあ病院行ったら治るけど、みたいな

「え?それやったらもう、早く帰ったった方がええんちゃう?」って、さすがに僕も言うたんですけど

「いやいやいや。もうみんな来たし、先輩もいいって言うからええねん!」って

「ええの!?」

「まあこんなもんや、俺らは」って言うんで

「あ、そうなん?」って

 

で、バー滑って

ほんで僕「滑ってたら暑なってきたから1枚脱ぐわ!」

「車帰って、1枚おきにいくわ!」って、嫁はんと言って

ほなら、僕と嫁はんで、バーって行こうと思ったんですけど

 

もう、だんじり野郎がおるんですよね。車の中に

 

まあ、言っちゃえば「笑ろたらあかん!」と

絶対、笑ろたらダメじゃないですか。ここは

 

まあ、その。別に悪い人じゃないんで

僕も心配する気持ちは、5%くらいはやっぱあるから

5%だけなんや(笑)

でも、やっぱり「僕は笑ったらあかん!」と。嫁はんも「笑いなや?」言ってきて

「それはそうや!俺は絶対笑わへん!」って

で、僕。その、寝てるって言ってたから

寝てたらあかんし、後ろをカチャって開けて。バンボックスなんですけど、こうギギギギって入ったんです

 

ほんなら、マンガみたいなの読んではったんですよ

多分、弟たちが暇やろということで。こんだけの(山のような)雑誌を、その。置いてあって

こう、読んではったんですよ

 

ガチャって入ってったら「ん?」ってなったから

僕が「大丈夫ですか?」って言うたら、ほんま

ほんま、そ~っとした声だったんですけど

「大丈夫ですか?」って聞いたら

 

「おぉ」って、言ったんですよ

 

もう1度「大丈夫ですか?」て言ったら

「おぉ」って

もう、オカリナをそ~っと吹いた時みたいな「ほぉ」っていう、音みたいな声が

助手席から「ほぉ」って聞こえてきたんです!

もう、めっちゃ笑いそうになって!!

そんな声出るもん!?そ~っとすぎるやろ!っていう!

なんやねんそれ!?

いや、それは痛いねん!響くねん!声出したら!

 

ひきしなく、それから走馬灯のように。振り返ったら

行きすがらの車で、だんじりをやって!

やってないねん!それもう!

それはお前や!

(舞をする)みたいな感じで、こう、回して!

「我はもう、相当な支配者なり!」という感じで!

それはお前のイメージや!!

もう、弟はいてる、ツレもいてる、おもろい話して僕の顔見る!

ってやってたこととか

「もちろん1日券っしょ!!」

とか

出てきた時にもう、空向いてたとか!

 

思い出すと、あんなに勢いあったのに

「大丈夫ですか?」言うたら

「おぉ」って!

「おぉ…」って、そ〜っとオカリナ吹くな!!

 

って思って。めっちゃ笑いそうになりましたよ!

 

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